学生広報部コラム「一味違う短歌入門書として『江古田文学103号(2020年)』」(2023.10.09)

 この号の特集は「短歌の楽しみかた」。SNSを中心とした「短歌ブーム」が訪れて、商業的な成功を収め版を重ねる歌集も次々と登場してきている2023年、短歌に興味を持ち始めているという方も少なくないのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいのがこの号に掲載されている二三川練「短歌読解入門~おもしろき歌をおもしろく~」です。

「例えば僕を含めた千人が面白がれない短歌をあなたが面白がったとき、あなたがその面白さを語れないのならば僕が今書いているこの文章は無価値である。この文章は、あなたが『面白い歌』をあなたの言葉で語れるようになるために書いている。」と本文中で述べられるこの文章には、たしかに短歌の面白さを感じ取り語れるようになるためのヒントが丁寧に書かれていると思います。短歌のテクスト上で提示される情報/されない情報とどのように向き合うべきか、五七五七七で形作られる短歌に発生する「切れ」という概念に注目する読解の手法などが、具体的な例を挙げながら解説されています。一般的な入門書や専門書とは一味違う切り口の「短歌読解入門」、おすすめです。(文・山田教太)