学生広報部コラム「親を知る」(2023.07.31)

「親の顔が見たい」という言葉がある。躾のなっていない子供に対して、呆れを含ませて言うものだが、極めて純粋にそう思ったことはあるだろうか。例えば、物凄く頭の出来が良い人だったり、とても美しい礼儀作法をする人だったり。つまるところ、どのようにしてこの人間は出来上がったのか、産み落とし、育てあげた存在に興味を抱くというものが。

では、小説を読んでいてそう思ったことは?ひとつの物語に出会い、それを作り出した人物に興味を抱いた経験はあるだろうか。いわゆる「文豪」と呼ばれている者たちが没後数十年、数百年と経ってもなお研究され、関連した創作物などが世に出続けているのは、ひとえに彼らの作品に出合った幾人もが、その親である彼ら自身に興味を抱いたがゆえであろう。

江古田文学第69号では作家・太宰治の生誕100年を記念した特集が組まれているが、太宰治自身に惹かれた人々の織りなす、太宰愛を詰め込んだ文章は読み応えのあるものばかり。女性関係を深堀りしてみたり、聖地巡礼してみたり、代表作を考察してみたり……。

太宰治作品を読み、彼自身に興味を抱いた人はもちろん、推しを全力でプレゼンする人間が愉快で好きだと思うそこのキミも、ぜひ手に取ってみてほしい。(文・美沙)