文芸学科主任からのメッセージ

文芸学科主任からのメッセージ

言葉には「質量」がありませんでした。

もともと世界を満たしている空気を声帯で震わせ、音として誰かの鼓膜を振動させるだけで、この世に存在する空気の量を増やしたり減らしたりすることなく「意味」を他者に届けられるわけです。

重さはゼロです。しかし、みなさんは「言葉の重さ」というものを何度も実感してきたことと思います。

つまり言葉は、物理ではなく心理を動かすコード(符号体系)であり、コードである以上、なんらかのお約束に基づいた共通認識を持つ者同士でしか伝わらないということを意味します。

しかし、と問います。

われわれは「文法」という「お約束」を説明できなくても、言葉を使えている。なぜか?

──ここから言語学や哲学が始まってしまうわけですが、文学は、きっと違う。

文学は「じつは自分の言葉なんて相手に伝わっていないんじゃないか?」という疑惑から始まります。

幾千もの誤解のバリエーションに翻弄される私。

このフレーズに心当たりがある方は、きっとここで何かを得ることができるでしょう。

文芸学科へようこそ!

文芸学科主任 青木敬士