仏文芸学研究I (石崎 晴己)
通年 4単位 前期課程1・2年 選択必修科目 研究・創作部門
■授業のねらい
いわゆる「サルトル・カミュ論争」を、フランス知識人の歴史を背景として再検討する。
■指導方針
フランス知識人の歴史を、知識人誕生のモメントとなったドレフュス事件から初めて一通りたどり、次いで「サルトル・カミュ論争」のきっかけとなった『反抗的人間』を熟読・分析した上で、論争のテクストを熟読する。そしてカミュとサルトルの論争に到るまでの軌跡をたどり、その後の展開にも触れる。特に論争のトラウマを濃厚に留めていると言われるカミュの『転落』、アルジェリア戦争をめぐる二人の動き、さらにその後のサルトルの展開、ソ連邦崩壊までのフランスにおけるソ連批判の動向を、検討する。授業の進め方としては、できる限り学生諸君にも文献を読んで貰い、共同で分析するという形を取りたいと思っている。場合によって課題として「レジュメ」を書いて貰って議論の中でそれを添削するということもあろう。とは言え、その都度すべての文献を読めというのは負担が多すぎるであろうから、「必読」文献と、できれば読んで欲しい「推奨」文献を指定するつもりである。すべて日本語訳によって進めることになるが、受講者に最小限のフランス語の知識があると好都合である。
■授業及び指導計画
<前学期>
1.フランス知識人の歴史概観
2.第二次世界大戦中の知識人の動向
3.レジスタンスと戦後の対独協力者粛清
4.共産圏の成立と冷戦の開始
5.メルロー=ポンティ『ヒューマニズムとテロル』
6.モスクワ裁判
7.ソ連強制収容所問題
8.『反抗的人間』
9.論争の概観
10.ジャンソン論文
11.カミュ書簡
12.サルトル書簡およびジャンソン第二論文
<後学期>
1.カミュの初期作品と『シーシュポスの神話』
2.『異邦人』『カリギュラ』『誤解』
3.「ドイツ人の友への手紙」
4.「犠牲者も否、死刑執行人も否」
5.『ペスト』『正義の人々』
6.初期サルトルの概観
7.アンガジュマン概念の形成
8.同伴者路線に到るまでのサルトルの政治的変遷
9.「共産主義者と平和」
10.アルジェリア戦争
11.『転落』
12.70年代以降のフランス知識人のソ連邦批判
■テキスト及びサブテキスト:
できれば授業開始までに読んでおいて欲しい必読文献:『革命か反抗か』新潮文庫、『反抗的人間』(『カミュ全集4』)新潮社
参考文献:ロットマン『伝記アルベール・カミュ』清水弘文堂、ベルナール=アンリ・レヴィ『サルトルの世紀』
■成績評価:課題として課すレジュメやレポートなどを含めて、全体的受講態度により評価する。
■E-mail:必要なら、授業内で伝える。